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特定商取引法の電話番号|個人が非公開にする方法

公開 2026-09-13
※本記事にはプロモーション(広告)を含みます。

ネットショップの「特定商取引法に基づく表記」で、最後に手が止まるのが電話番号の欄です。

住所はバーチャルオフィスで解決できた。 では電話番号はどうするのか。 自分の携帯番号を全世界に出すしかないのか。

結論を先に書きます。 電話番号は表示事項として定められています。 ただし、請求に応じて遅滞なく提供する措置を講じている場合には、表示を省略することも可能だと案内されています。

この記事では、条文・消費者庁のQ&A・逐条解説をたどって、どこまでが公式に書かれているのかを整理します。

この記事の位置づけ

最初に、この記事がどういう立場で書かれているかを明示します。

筆者はここで取り上げるサービスをいずれも契約していません。 そのため本記事は、法令と行政の公式資料、および各社公式サイトの記載の整理です。

参照したのは次の資料です。

  • 条文: e-Gov法令検索(特定商取引に関する法律/同施行規則)— 2026年9月13日確認
  • 解釈の案内: 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売広告Q&A」— 同日確認
  • 逐条解説: 消費者庁「特定商取引に関する法律・解説(令和7年6月1日時点版)」第2章第3節 — 同日確認
  • 執行の状況: 消費者庁「特定商取引法の通信販売分野における執行状況について」(令和7年1月16日公表)— 同日確認
  • 電話サービスの所管: 総務省 電気通信消費者情報コーナー — 同日確認
  • 料金・仕様: 各社公式サイト — 2026年9月13日時点で確認

次の点はお約束できません。

  • サービスの使用感、対応品質、電話のつながりやすさ(契約していないため書きません)
  • 個別のケースが法令の要件を満たすかどうかの判断

法令の解釈は、行政の公式資料に書かれていることだけを出典つきで示します。 個別の可否は、消費者庁または都道府県の特定商取引法の担当窓口にご確認ください。

なお、この記事では税金の話は扱いません。 詳細は国税庁のページをご確認ください。

結論:表示が原則。省略はスペース不足の媒体向けの特例

まず全体像です。 公式資料を読むと、話は3段になっています。

1段目:電話番号は表示事項です。

特定商取引法第11条が通信販売の広告の表示事項を定めています。 その第6号「主務省令で定める事項」を受けた施行規則第23条第1号に、次の項目が置かれています。

販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号

つまり電話番号は、法律の本体ではなく省令の側にある表示事項です。

2段目:省略の仕組みが用意されています。

消費者庁の通信販売広告Q&A Q17は、次のように案内しています。

「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です

「省略できる」ではなく「省略することも可能です」という書き方である点に注意してください。

3段目:ただし省略は特例の位置づけです。

逐条解説には、次の一文があります。

広告スペースが十分に確保できる場合には、広告で本条各号の事項の表示を省略した上で請求により「遅滞なく」提供するよりも、当初から広告に全て表示することが望ましいと考えられる

省略は、紙面や画面のスペースが限られる媒体を想定した仕組みだ、という整理です。 ウェブサイトはスペースの制約が小さい媒体です。 「省略すればいい」と最初から決めてかかる前に、この一文を読んでおく価値があります。

住所側の論点は特定商取引法の住所|個人が非公開にできる条件にまとめています。

電話番号をどうするか:6つの選択肢を表で整理

選べる道を並べます。 費用は2026年9月13日時点で各社公式サイトに記載されていた金額です。

選択肢自分の携帯番号を出さずに済むか費用の目安押さえておく点
自分の携帯番号を表示するいいえ0円番号が広告上の公開情報になる
固定電話を新設するはい本記事では未確認費用と開通までの期間は回線事業者の公式でご確認ください
バーチャルオフィスの転送電話はい単体オプションで月1,000円(税別)〜2,200円(税込)程度着信専用の社もある。Q18の要件を確認
バーチャルオフィスの電話代行(秘書代行)はい単体オプションで月3,000円(税別)〜5,000円(税込)程度受付時間が平日日中に限られる社が多い
プラットフォームの非公開機能条件つきで可0円表示の代行であって表示義務の免除ではない
省略措置(請求により遅滞なく提供)はい0円請求に応じる体制が必要。逐条解説は全部表示が望ましいとする

住所プランとセットになったコースは、これより高い金額が設定されている社もあります。 各社の具体的な金額は後述の表にまとめました。

表の見方を補足します。

「転送電話」は、貸し出された番号にかかってきた電話を自分の携帯へ自動転送する仕組みです。 電話に出るのは自分です。

「電話代行(電話秘書代行)」は、オペレーターが代わりに電話を受け、内容をメール等で伝える仕組みです。 電話に出るのは事業者側です。

どちらを選ぶかは、営業時間中に自分で電話に出られるかどうかで変わります。

固定電話の新設については、本記事では回線事業者の公式情報を確認していません。 金額と期間を書ける根拠がないため、この記事では扱いません。

根拠をたどる:条文の階層と、省略の仕組み

この論点は、条文が三重になっています。 ここを分解すると、ネット上の情報の食い違いが整理できます。

表示義務の側

  • 特定商取引法第11条(通信販売についての広告)
  • 同条第6号「主務省令で定める事項」
  • 特定商取引に関する法律施行規則第23条第1号「氏名又は名称、住所及び電話番号」

電話番号は、法第11条の本体に書かれているわけではありません。 第6号から省令へ降りた先にあります。

省略の側

法第11条にはただし書があります。

当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、……これらの事項の一部を表示しないことができる

この「一部」の範囲を決めているのが施行規則第25条です。 同条第2項は、購入者が負担すべき金銭の全部を表示する場合について定めています。 対象となるのは法第11条第2号・第3号・第5号・第6号の事項です。

そして省略できない事項として、第23条第4号および第6号から第10号までが除外列挙されています。 第23条第1号(氏名・住所・電話番号)は、この除外列挙に入っていません。

逐条解説の「省略基準」の一覧表も同じ向きです。 「販売業者の氏名等(省令第23条第1号)」は、金銭を全部表示したときも全部表示しないときも、いずれも「省略できる」と整理されています。

省略できない項目もある

施行規則第25条第2項が対象にしているのは、法第11条の第2号・第3号・第5号・第6号です。 第4号(申込みの期間に関する定め)は対象外です。

逐条解説の省略基準の一覧表でも、第4号は金銭を全部表示したときも全部表示しないときも「省略できない」と整理されています。 「省略措置を書けば全部隠せる」という理解にはならない、ということです。

「遅滞なく」はいつまでか

Q17には、次の説明が付いています。

ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます

注文後に送れば足りる、という整理ではありません。 買うかどうかを決める前に届いている必要がある、という書き方です。

逐条解説は、この観点からネットオークションの例を挙げています。

例えば、インターネット・オークションにおいては、通常、短期間の申込みの期間が設定されており、その直前に多数の者が競い合って申込みをすることも多いため、「遅滞なく」提供することは困難であると考えられる

省略した場合に何を送ることになるか

逐条解説は、省略した場合について次のようにしています。

ただし、省略する場合、別途交付する書面又は提供する電磁的記録には省略された表示事項の全てを表示しなければならない

送るのは電話番号だけではありません。 省略した表示事項の全部です。

さらに施行規則第23条第9号により、その書面・電磁的記録を請求した人に金銭を負担させるときは、その額の表示が必要とされています。 そしてこの第9号自体は、省略の対象から除外されています。

ウェブ広告での書き方

逐条解説は、媒体によって扱いを分けています。

  • 電子メールやウェブサイト等の電磁的方法による広告:電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示で足りる
  • 新聞・雑誌等の媒体:書面を遅滞なく交付する旨の表示が求められる

ネットショップの場合は、メール等で送る旨の表示で足りる、という整理になります。

どこに書くか

逐条解説には、表示の場所についての注記があります。 省令第23条第1号から第3号までの事項について、次の趣旨が記載されています。

  • 消費者が容易に認識することができるような文字の大きさ・方法で表示する
  • 容易に認識することができるような場所に表示する
  • 画面上に広告の冒頭部分を表示したときに認識することができるように表示すべき
  • それができない場合は、「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」等のリンクやタブにより、冒頭から容易に到達できる方法を講ずべき

小さな文字でページの最下部に置く、という運用は、この注記の想定から外れます。

省略の一文の文例は公式に見当たらない

「請求があれば遅滞なく提供します」と、どう書けばよいのか。 消費者庁のQ&Aと逐条解説を確認した範囲では、指定された書式や文例は見当たりませんでした。 (2026年9月13日確認)

書き方の可否については、所轄の窓口にご確認ください。

そもそも自分は「販売業者」なのか

副業で不用品を売り始めた段階の人は、その手前の論点があります。

消費者庁は「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」を公開しています。 そこには、次の記載があります。

インターネット・オークションを通じて販売を行っている場合であっても、営利の意思をもって反復継続して販売を行う場合は、法人・個人を問わず事業者に該当し、特定商取引法の規制対象となる

自分が該当するかどうかの判断は、このガイドラインを読んだうえで窓口にご確認ください。

バーチャルオフィスの電話番号を使う場合の条件と料金

ここが、住所だけ借りた人が次にぶつかる場所です。

Q18の3つの要件

消費者庁の通信販売広告Q&A Q18は、プラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所・電話番号の表示について案内しています。 次の措置が講じられ、要件が満たされる場合には、法の要請を満たすものと考えられます、という書き方です。

  1. プラットフォーム事業者の電話番号を表示する場合、その個人事業者の通信販売に係る取引の活動が当該プラットフォーム上で行われること
  2. その住所及び電話番号が連絡先としての機能を果たすことについて、個人事業者と当該事業者との間で合意がなされていること
  3. 当該事業者が個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握しており、両者の間で確実に連絡が取れる状態となっていること

そしてQ18には、次のただし書が続きます。

ただし、個人事業者、プラットフォーム事業者又はバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはなりません

契約すれば自動的に条件を満たす、という構造ではありません。 運用が続いている状態が前提になっている、という書き方です。

電話代行そのものについては公式の記述が見当たらない

Q18が名指しで扱っているのは、プラットフォーム事業者とバーチャルオフィスです。 電話代行(電話秘書代行)や転送電話サービス単体はどうか。 可否を明示した記述は、Q&Aと逐条解説を確認した範囲では見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。

「書いていない」ことは「認められない」ことでも「認められる」ことでもありません。 個別の可否は所轄の窓口にご確認ください。

契約時に本人確認を求められる理由

総務省の公式ページには、犯罪収益移転防止法に関する案内があります。

そこでは、郵便物受取・電話受付代行業者や電話転送サービス事業者等が特定事業者とされています。 そして顧客等の本人確認、疑わしい取引の監督行政庁への届出等の措置が義務付けられる、と記載されています。 電話受付代行業務と電話転送サービス業務は総務省の所管とされています。

定義も示されています。

  • 電話受付代行業務:自己の電話番号を顧客が連絡先として利用することを許諾している/当該顧客あてにかかってきた電話について応答している/通信が終わった後で顧客に通信内容を連絡している、のすべてを満たすサービス
  • 電話転送サービス業務:自己の電話番号を顧客が連絡先として利用することを許諾している/当該電話番号に係る電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送している、の両方を満たすサービス

そのため、契約時に本人確認書類の提出を求められる場合があります。

この本人確認の仕組みは、Q18の3つ目の要件(事業者が本人の現住所と本人名義の電話番号を把握している状態)と重なる部分があります。

各社の電話オプション料金

2026年9月13日時点で、各社公式サイトに記載されていた金額です。

サービス電話関連の内容料金
レゾナンス転送電話セットコース月3,190円(税込)
レゾナンス電話秘書代行セットコース月5,390円(税込)
レゾナンス電話代行内線取次セットコース月7,700円(税込)
レゾナンス電話秘書代行貸出し番号発信セットコース月8,800円(税込)
レゾナンス転送電話サービス単体(03・06・045)月2,200円(税込)
レゾナンス電話秘書代行サービス単体月4,950円(税込)
Karigoブループラン(転送電話あり・電話代行なし)月8,300円〜(税込)
Karigoオレンジプラン(電話代行あり・転送電話なし)月10,400円〜(税込)
アントレサロン03電話転送(着信専用)月1,000円+通話料(税別)
アントレサロン専用TEL番号(03・044・045・048から選択/発着信可)初期5,000円+月4,000円+通話料(税別)
アントレサロン050電話番号(発着信可)初期1,500円+月1,800円+通話料(税別)
アントレサロン電話秘書月3,000円(税別)
0円バーチャルオフィス電話代行ライトプラン(月10コール+東京03番号)月5,000円(税込)/初回2,200円・保証金5,000円
バーチャルオフィス1電話転送(現在受付停止中と記載)980円〜
GMOオフィスサポート料金プラン表に電話オプションの記載なし

表の脚注です。

  • レゾナンスとKarigoは税込表示、アントレサロンは「※以下は全て消費税別です」と明記されています
  • Karigoは「※店舗により料金が異なります」と注記されています
  • レゾナンスの基本のバーチャルオフィスコースは月990円(税込)、ネットショップ住所貸しプランは月550円(税込)
  • 上記2つのプランには転送電話は含まれていません
  • レゾナンスの転送の通話料は利用者負担と記載されています
  • レゾナンスの電話代行の受付時間は月〜金9:00〜18:00(祝祭日・年末年始・夏季休養日を除く)と記載されています
  • 0円バーチャルオフィスの電話代行の受付時間は平日月〜金9:00〜17:00で、「営業時間の延長はできません」と記載されています
  • 0円バーチャルオフィスの電話代行は、単体での利用はできないと記載されています
  • バーチャルオフィス1の電話転送は、公式サイト上で「現在受付停止中」と表示されています(連携事業者との直接契約と記載)
  • バーチャルオフィス1の「980円〜」には、税込か税別かの明記が公式ページ上に見当たりませんでした
  • GMOオフィスサポートは料金プラン表に電話オプションの記載がありません
  • サービスページに「固定電話番号のご案内」という提携サービスの紹介枠があるのみで、料金は公式ページに掲載されていません
  • GMOオフィスサポートの公式ページには「重要 料金の改定を予定しております。」との告知が表示されています

レゾナンスの公式サイトには、「当社でお貸出する住所や電話番号は特定商取引法にも記載いただけます」という説明が記載されています。 これは同社による自社サービスの説明です。 実際にQ18の要件を満たすかどうかは、契約前に同社と条件を確認してください。

レゾナンスの料金プランを見る

東京と横浜の11拠点。月額990円〜で法人登記にも使えます

電話の選択肢を細かく分けたい場合は、着信専用と発着信可を別料金で用意している事業者もあります。

アントレサロンのバーチャルオフィスプランを見る

東京・神奈川・埼玉の駅近。内覧予約や資料請求も成果対象です

各社の住所プランと拠点の比較はバーチャルオフィス9社の比較にまとめています。 郵便物の受け取り方をあわせて決めたい場合は郵便物の転送サービスの比較もご覧ください。

番号の種別についての記述は見当たらなかった

「050番号は使えないのでは」「携帯番号は避けるべきでは」という疑問をよく見かけます。

法第11条、施行規則第23条第1号、通信販売広告Q&A、逐条解説を確認しました。 電話番号の種別(0AB〜J/050/携帯)を指定する記述は見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。 要件として書かれているのは、確実に連絡が取れる番号であることです。

参考として、総務省の参考資料集「固定電話番号を利用する転送電話サービスの在り方」(資料24−2・平成30年7月10日)には、次の記載があります。

固定電話番号(0AB〜J)は、端末の設置場所を固定して提供されるサービスで利用されており、利用者の所在地が特定されているため、通話の相手を知らない場合でも、一定の社会的信頼性が確保されている

これは番号制度の説明であって、特定商取引法上の可否を示したものではありません。

なお、電話サービス事業者の側で提供番号が変わる例もあります。 Karigoグループの電話サービス「Toones」は2022年1月に告知を出しています。 各電話サービスの050番号以外の番号(03、043、044、045、048、052、06)の提供が2022年5月で終了する、という内容です。 050番号での提供は可能である旨も案内されています。 告知には、現在050番号を契約中の利用者は継続して利用できる旨も付記されています。

これは1社の告知です。 2026年9月13日時点の各社の案内は次のとおりです。 レゾナンスが03・06・045、アントレサロンが03・044・045・048、0円バーチャルオフィスが東京03番号を、それぞれ公式サイト上で案内しています。

競合記事が抜かしている3つの論点

ここからが、この記事を書いた理由です。 電話番号の記事は多いのですが、次の3つに触れているものはほとんど見かけません。

論点1:解約を電話で受け付けるなら、要件がもう1つ増える

逐条解説は、解約方法として電話連絡を受け付ける場合について、別の整理を置いています。

掲載する番号は、省令第23条第1号の表示義務の番号と同じでもよいとされています。 ただし「解約を受け付ける電話番号であることが認識できるように別途表示しておくべきもの」とされています。

そのうえで、次の記述があります。

表示された電話番号に消費者から電話をかけても一切つながらないような場合や、窓口担当者に用件を伝えて折り返しの連絡を依頼した後に一向にその連絡がないような場合は、「契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」の表示義務に違反するおそれがある

つまり、番号を書いたかどうかではなく、折り返しまで含めた運用が見られている、という書き方です。

電話代行を使う場合、ここが実務の分かれ目になります。 オペレーターが受けた内容をメールで受け取った後、自分が折り返す。 その運用が回るかどうかを、契約前に想定しておく必要があります。

論点2:この論点は実際に行政指導の対象になっている

消費者庁「特定商取引法の通信販売分野における執行状況について」(令和7年1月16日公表)には、次の記載があります。

令和6年5月から同年12月末までの8か月間で行政指導を6案件実施しており、このうち、電話で解約を受け付けているにもかかわらず、広告に確実に連絡が取れる電話番号を表示していなかった事業者に対する行政指導は3案件であった

数字だけを見ると不安になりますが、文脈も確認してください。 同資料の別表を見ると、この3案件はいずれも定期購入契約に関するものです。 商材はサプリメント・健康食品・化粧品で、法第11条第5号・第6号に関わる事案として整理されています。

単発で商品を売るネットショップ一般が指導された、という話ではありません。 一方で、電話で解約を受け付ける設計にしているなら、業種を問わず同じ論点が生じます。

論点3:プラットフォームの非公開機能は「表示の代行」

BASE・STORES・メルカリShopsには、特商法の表記を非公開にする機能があります。 ただし、いずれも「自分の情報がどこにも出ない」仕組みではありません。

BASE

公式ヘルプは、区分が「個人」のショップについて、設定画面から「店舗・活動場所の住所」と「連絡先」を非公開に設定できる、と案内しています。 非公開にした場合、特定商取引法に基づく表記にはBASE株式会社の連絡先が表示される、と記載されています。

あわせて、次の注記があります。

  • 連絡先は決済の審査などに必要なため、非公開にした場合でも正確に入力する必要がある
  • 商品を発送する際の発送元は、BASEの電話番号ではなくショップオーナー自身の電話番号を使う必要がある
  • 返品の依頼など取引上の問い合わせや要望があった場合、非公開に設定していても住所および連絡先を開示する必要がある
  • 商品の納品書にはショップの住所が記載される
  • BASEの情報で納品書や領収書を発行することはできない
  • Ameba owndを利用しているショップは非公開にできない

STORES

公式FAQは、事業形態が個人・個人事業主の場合に限り、所在地および電話番号を非公開にする機能を提供している、と案内しています。 非公開時はSTORES株式会社の所在地および電話番号が表示される、と記載されています。

同時に、次の記載があります。

当社へのご登録については、実際に事業活動を行っている拠点(自宅や事務所等)の住所および確実に連絡が取れる電話番号を正しく入力してください。「現に活動している住所」ではないバーチャルオフィスの住所等を登録することは、特商法の表示義務違反となる恐れがあるため認められません。

これはSTORES社の登録ルールであって、特定商取引法そのものの定めではありません。 ただし、STORESを使う以上は従うことになるルールです。 「バーチャルオフィス+プラットフォームの非公開機能」を無条件に勧める記事とは、正面からぶつかる記載です。

開示について、STORESの公式FAQは次のようにも案内しています。

この非公開機能は、画面上の表示を一時的に代行するものであり、特定商取引法上の表示義務や責任を免除するものではありません。

本来ショップオーナーに届くべき問い合わせが、STORESに寄せられる場合があります。 その際、消費者の正当な権利の行使に必要であると同社が判断したときは、オーナーの連絡先を個別に開示することがある、とも記載されています。 具体例として挙げられているのは3つです。 購入者・購入検討者が急ぎの場合、開示を強く求められた場合、STORES側で対応判断ができない場合です。

同社の公式FAQには、決済審査の利用申請と、商品の発送時の発送伝票・納品書に記載される販売主情報については、オーナー自身の情報が必要である旨も記載されています。 また、事業者の名称は非公開にできないとされています。 なお、同社の公式FAQには匿名配送機能は用意していない旨の記載もあります。

メルカリShops

ここは情報が古いまま流通している場所です。

メルカリShopsガイドは、運営者情報の公開/非公開機能について、2025年3月24日をもって非公開への変更受付を終了した、と告知しています。 現在のガイドは、2025年3月24日以前に非公開に設定し、今も非公開状態のショップ向けの案内である旨が明記されています。

つまり、これから始める人が新たに非公開を選ぶことはできません。

既に非公開のショップについては、運営者情報はアプリ上では表示されず、開示請求が行われた場合に開示請求者に対してのみ開示される、とされています。 開示請求ができるのはメルカリアカウントにログインしているすべての利用者で、開示される内容には住所・電話番号が含まれます。 販売業者名は非公開にできないため、ショップに登録した氏名が開示される、と記載されています。

住所については、メルカリShopsガイドは「特定商取引法に則り『現に活動している住所』といえる住所を入力することが条件になります。条件を満たすかどうかは各バーチャルオフィスサービスにお問い合わせください」と案内しています。

各サービスの開設手順の比較はネットショップ開設サービスの比較にまとめています。

注意点・つまずきやすい点

ここまでで出てきた「引っかかりやすい場所」をまとめます。

番号を書けば終わり、ではない

逐条解説には、次の記述があります。

使用されていない電話番号を表示する場合や発信専用の番号で消費者側から架電しても一切つながらないような場合等は、確実に連絡が取れる番号とはいえず、また、使用可能な電話番号を広告上掲載している場合においても、販売業者等が意図的に、常に電話を取らない状態にしている場合等には、確実に連絡が取れる番号を表示していることにはならない

「発信専用の番号」への言及は、ウェブのQ&Aにはなく逐条解説にあります。 着信専用/発信専用という用語は事業者によって意味が異なるため、契約前に仕様を確認してください。

夜間・休日は留守番電話でよいとされている

Q20は「電話番号を記載すると、24時間いつでも電話がかかって来ますが、対応しなければならないのでしょうか。」という問いを扱っています。

回答は、一般常識として夜間等営業を行っていない時間帯については、留守番電話等を利用することは構いません、というものです。

一方、電話代行の受付時間は平日日中に限られる社が多くなっています。 時間外の挙動(話し中になるのか、留守番電話になるのか)は、契約前に公式の記載を確認してください。

電話代行がネット通販を断っている場合がある

0円バーチャルオフィスの電話代行のページには、次の記載があります。

オペレーターへの過度な負担を避けるため、現在ネット通販を営む会社様とはご契約をお断りしております。

物販を始める人にとっては正面から衝突する条件です。 提携している案件であっても、この記載がある以上、電話の用途では選べません。

受付を止めているオプションがある

バーチャルオフィス1の電話転送オプションは、公式サイト上で「現在受付停止中」と表示されています(2026年9月13日確認)。 住所の用途とは切り分けて考えてください。

氏名は屋号やペンネームでは足りない

Q16は、氏名又は名称について案内しています。 個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を記載することを要する、という内容です。 通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められない、と記載されています。

ただしQ15により、請求に応じて遅滞なく提供する措置を講じている場合には、氏名(名称)の表示も省略することが可能とされています。

屋号での事業運営については屋号付き口座の比較もあわせてご覧ください。

私書箱は住所の表示にならない

Q19は、私書箱を表示しても営業上の活動の拠点となる場所を表示したことにはならないため、住所の表示をしたことにはならない、と案内しています。

一方、逐条解説には「いわゆるレンタルオフィス等であっても、現に活動している住所といえる限り、法の要請を満たすと考えられる」という記述があります。

一度公開した番号は戻しにくい

表記を後から変更することはできますが、検索エンジンのキャッシュ、SNSの投稿、購入者の手元の納品書などに残った情報を消すことはできません。

最初にどの番号を出すかを決めてから公開する方が、後の手間は小さくなります。

決済側にも連絡先の登録が必要になる

決済サービスの審査でも、事業者情報の登録が求められます。 公開する番号と、審査に登録する番号は別物として扱われる場合があります。

決済手段の選び方は決済サービスの比較にまとめています。

よくある質問

Q. 特商法の表記に、自分の携帯番号を書かないといけませんか

電話番号は施行規則第23条第1号の表示事項として定められています。 ただしQ17には省略の案内があります。 請求により遅滞なく提供する旨を広告に表示し、実際に提供できる措置を講じている場合には、住所および電話番号の表示を省略することも可能だとされています。 携帯番号でなければならない、という記述は見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。

Q. 「請求があれば遅滞なく開示します」と書けば省略できますか

Q17では、その旨を広告に表示することと、実際に請求があった場合に遅滞なく提供できる措置を講じていることの両方が挙げられています。 一文を置くだけでは足りない、という書き方です。 個別の書き方の可否は、所轄の窓口にご確認ください。

Q. その一文はどこに書けばいいですか

指定された文例や掲載位置は、消費者庁のQ&Aと逐条解説を確認した範囲では見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。 なお逐条解説には、省令第23条第1号から第3号までの事項についての注記があります。 広告の冒頭部分で認識できるように表示すべき、という趣旨です。 それができない場合は「特定商取引法に基づく表記」等のリンクやタブで冒頭から容易に到達できる方法を講ずべき、とされています。

Q. 「遅滞なく」とは具体的にいつまでですか

Q17には、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいう、と記載されています。 注文後に送ればよい、という整理ではありません。

Q. 省略した場合、請求が来たら何を送るのですか

逐条解説には、省略する場合、別途交付する書面又は提供する電磁的記録には省略された表示事項の全てを表示しなければならない、と記載されています。 電話番号だけではなく、省略した項目の全部が対象です。 またその書面等を有料にする場合は、その額の表示が求められます(施行規則第23条第9号)。

Q. バーチャルオフィスの電話番号を特商法の表記に書けますか

Q18では、3つの措置が講じられ要件が満たされる場合には、法の要請を満たすものと考えられます、と案内されています。 契約するだけで条件を満たす、という書き方ではありません。 Q18の末尾には、ただし書があります。 いずれかが不誠実であり消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、表示義務を果たしたことにはならない、という内容です。

Q. 転送電話と電話代行はどう違いますか

転送電話は、貸し出された番号への着信を自分の携帯等へ自動転送する仕組みです。 電話代行(電話秘書代行)は、オペレーターが代わりに受けて内容を伝える仕組みです。 料金は電話代行の方が高く設定されている社が多くなっています(2026年9月13日時点・各社公式サイトで確認)。

Q. 050番号でも特商法の表記に使えますか

法令・Q&A・逐条解説のいずれにも、電話番号の種別を指定する記述は見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。 要件として書かれているのは、確実に連絡が取れる番号であることです。 個別の判断は所轄の窓口にご確認ください。

Q. 固定電話を新しく引く場合の費用と期間はどれくらいですか

本記事では回線事業者の公式情報を確認していないため、金額と期間は書きません。 契約を検討している回線事業者の公式サイトでご確認ください。

Q. 電話代行の営業時間外にかかってきた電話はどうなりますか

各社の公式サイトに受付時間が記載されています。 0円バーチャルオフィスは平日9:00〜17:00で、サービス提供時間外に転送された場合は話し中になると記載されています。 レゾナンスの電話代行は月〜金9:00〜18:00と記載されています。 なおQ20では、夜間等営業を行っていない時間帯に留守番電話等を利用することは構わない、と案内されています。

Q. 留守番電話にしておくのは問題ありませんか

Q20の回答では、営業を行っていない時間帯について留守番電話等の利用は構わない、とされています。 一方、逐条解説には、意図的に常に電話を取らない状態にしている場合等には、確実に連絡が取れる番号を表示していることにはならない、という記述があります。 折り返しの運用も含めて見られている、という整理です。

Q. 解約や返品を電話で受け付ける場合、表記の番号と同じでいいですか

逐条解説では、省令第23条第1号の表示義務の番号と同じでもよいとされています。 ただし、解約を受け付ける電話番号であることが認識できるように別途表示しておくべきもの、とされています。

Q. 電話番号を書かなかった場合、どんな処分がありますか

消費者庁が公表している執行状況に数字があります。 令和6年5月から12月末までの8か月間で行政指導が6案件実施され、うち3案件が電話番号に関する事案であった、と記載されています。 処分の類型としては、特定商取引法に指示(第14条)、販売業者等に対する業務の停止等(第15条)、役員等に対する業務の禁止等(第15条の2)の規定が置かれています。 罰則の章(第七章)も確認しました。 第11条に違反して表示しなかったこと自体を直接の対象とする罰則の号は見当たりませんでした(2026年9月13日確認)。 なお第72条第2項には、同項が対象とする電子メール広告に関する罪を犯した者が、その電子メール広告において第11条の規定に違反して表示しなかったときの刑が定められています。 個別の事案にどの規定が適用されるかは、所轄の窓口にご確認ください。

Q. BASE・STORES・メルカリShopsの非公開機能を使えば電話番号を出さずに済みますか

BASEとSTORESは、個人の区分であれば非公開機能が案内されています。 メルカリShopsの運営者情報の非公開は、2025年3月24日をもって新規の変更受付が終了したと告知されています。 STORESの公式FAQには、この非公開機能は画面上の表示を一時的に代行するものだと記載されています。 そして、特定商取引法上の表示義務や責任を免除するものではない、とされています。

Q. 非公開にすれば、自分の情報はどこにも出ませんか

BASEの公式ヘルプには、発送時の発送元はショップオーナー自身の電話番号を使う必要がある、と記載されています。 納品書にはショップの住所が記載される、との記載もあります。 またSTORESの公式FAQにも開示の記載があります。 消費者の正当な権利の行使に必要と同社が判断した場合、オーナーの連絡先を個別に開示することがある、という内容です。

Q. 住所はバーチャルオフィス、電話番号は自分の携帯という組み合わせでもいいですか

法令・Q&A・逐条解説を確認した範囲では、住所と電話番号を同じ事業者でそろえることを求める記述は見当たりませんでした。 (2026年9月13日確認) ただし、出店先のルールは別です。 STORESの公式FAQには、現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの住所等の登録は認められない、と記載されています。

Q. 屋号やペンネームだけで氏名を伏せられますか

Q16では、通称や屋号、サイト名のみの表示は認められない、と案内されています。 一方Q15では、請求に応じて遅滞なく提供する措置を講じている場合には、氏名(名称)の表示も省略することが可能とされています。

Q. モール(Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング)でも書く番号は変わりますか

各モールの特商法表記のルールについては、本記事では各社のヘルプを確認できていません。 出店するモールのヘルプと規約をご確認ください。 なおQ18の1つ目の要件は、その個人事業者の取引の活動が当該プラットフォーム上で行われることを挙げています。

Q. 電話代行の契約で本人確認書類を求められるのはなぜですか

総務省の公式ページには、電話受付代行業者・電話転送サービス事業者等が犯罪収益移転防止法の特定事業者とされる旨が記載されています。 あわせて、顧客等の本人確認等の措置が義務付けられるとされています。 そのため、契約時に本人確認書類の提出を求められる場合があります。

Q. ネットショップだと電話代行を断られることがありますか

0円バーチャルオフィスの電話代行のページには、現在ネット通販を営む会社とは契約を断っている旨が記載されています(2026年9月13日確認)。 申し込み前に、各社の対象業種の記載をご確認ください。

Q. バーチャルオフィスを解約したら、表記の電話番号はどうなりますか

貸与された番号は解約とともに使えなくなるのが通常の設計です。 表示している番号が使えない状態になると、逐条解説が挙げる「使用されていない電話番号を表示する場合」に近づきます。 解約の前に、表記の差し替えの段取りを決めておいてください。

まとめ

要点を整理します。

  • 電話番号は表示事項。根拠は法第11条第6号から施行規則第23条第1号へ降りた先にある
  • 表示する場合の要件は、確実に連絡が取れる番号であること(Q17)
  • 請求により遅滞なく提供する旨を表示し、実際に提供できる措置を講じている場合は、省略することも可能だと案内されている
  • ただし逐条解説は、スペースが確保できる場合は当初から全て表示することが望ましいとしている
  • 「遅滞なく」は、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されること
  • 省略した場合に送るのは、省略した表示事項の全部
  • バーチャルオフィスの番号はQ18の3要件が前提で、契約しただけでは条件を満たす形にならない
  • 解約を電話で受け付けるなら、折り返しまで含めた運用が別途問われる
  • 令和6年5月〜12月の行政指導6案件のうち3案件が電話番号に関する事案だった
  • プラットフォームの非公開機能は表示の代行であり、表示義務や責任の免除ではない
  • メルカリShopsの運営者情報の非公開は、2025年3月24日で新規の受付が終了している

電話番号の悩みは、月額いくらのオプションを選ぶかではありません。 消費者が連絡を取ろうとしたとき、自分に届く経路が続いているかどうかです。

その経路を用意できる方法を選んでください。

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東京と横浜の11拠点。月額990円〜で法人登記にも使えます

本記事の料金と仕様は2026年9月13日時点で各社公式サイトを確認した内容です。 改定や受付状況の変更があるため、申し込み前にご自身で最新の内容をご確認ください。

参考・出典

この記事を書いた人

カイ — ネット物販の事業インフラ(住所・許可・口座・決済)を実際に自分で契約・申請し、その手順と所要日数を記録しています。